今回の記事ではお仕事で描いたイラストの中から「水色はぴる」さんの歌ってみた-ミュージックビデオ用イラストの制作過程をご紹介!
そしてこの記事を公開している本日10月3日ははぴるさんのデビュー日🎉
配信活動2周年のアニバーサリーデイ!
おめでとうございます🍀✨
【歌ってみた】My Voice Is For You / =LOVE 諸橋沙夏【covered by 水色はぴる】
まずは完成品から。実際に公開されている歌ってみた動画がコチラ!
MVイラストメイキング
ここからはさっそくメイキングの行程でどんなやりとりをしたのか、どんな意図があってその表現にしたのかなどなど、できるだけ時系列に沿ってまとめていくよ!
ヒアリング どんなイラストにしたい??
はじめにこのご依頼のお話を頂いたときのご依頼の条件はこんなかんじ
上記の条件とあわせて、参考画像を何枚か頂き、色味やポージングなどをご指定頂きました。
実は最初のヒアリング段階ではどういう気持ちを伝えたいのか、具体的なやりとりは一切無ありませんでした。
この時点では曲の収録もまだ先。
無理に内面を聞き出して固着化させてしまうより、まずはラフを見せてからの方がイメージに繋がるかな、と思って早速初期ラフの制作に入ります。
はじめからイメージがキッチリ細かく固まっているひとに対しては初期段階から深掘りを行いますが、
今回は事前にはぴるさんの性格をなんとなく掴んでいたこともあり、まずは形にして話をしよう、という方針でやりとりを進めています。
イメージスケッチ ご依頼者さんにはお見せしない工程
まずはイメージラフ/イメージスケッチを描いていきます。
とにかく思いついたものをなにかしらに描き出して、記憶に残していく工程です
ここではデータで残っていた6枚を載せていきますね
画力なんて何も意識していないスケッチなので正直お見せするの恥ずかしいです笑
顔が描いていないもの、素体しか描かれていないものまであります
消してしまったデータもあるので、多分今回は8枚か9枚くらいは案出しをして、どれがいいかなぁって吟味したんじゃないかなぁ…
ここからある程度構図を絞って、実際にお見せできる形のラフにしていくのですが、今回は色味の指定があったので色置きをして色味を決める作業を挟んでいます
こちらが色置きをした一枚
淡い色味で、という指定だったので、概ね基準となる色味をここで決めています。
この色味をベースとしつつ、たまに色味の修正をしながら正式なラフを作成しました。
こうして僕が描いた初期ラフが次の三枚になります!
ラフ制作 まずはたたき台!大枠のイメージを形に!
上の三枚のラフ画と概要説明は実際にはぴるさんに送った画像です。
みなさんはこのA~C案でどれが好きですか?
実際にこの3案を提出し、メインで採用となったのはB案でした
B案は今回のうたってみた動画のオリジナル作品、=LOVEの諸橋沙夏さんのMVにインスピレーションを大きく受けて描いたラフです。
海の要素は特に最初の段階で指定されていたわけではないのですが、頂いた参考画像や諸橋沙夏さんのMVにも海の要素が入っていたので、そのまま採用しています。
最初のご依頼条件を見返してもらうと分かるように、背景は”空”の指定が入っています。
なので海をバックにしつつも、空を強く反射させるように表現しています。
加えて、花びらや好きな四つ葉のクローバーを散らすことで、背景・前景でオリジナリティを出しています。
ただ、ここでひとつ生まれた疑問。
表情は目を細めて笑う表情と、しっかり目を開いて笑う表情、どちらの方が気持ちが伝わるのか??
はぴるさんの中で悩んでいるようでした。
ここらへんのやりとりの中で、初めてはぴるさんからリスナーのみなさんへ
「ありがとうと大好きを伝えたい」とはっきりと伺うことができたんです。
僕とのやりとりの中では初めてはぴるさんの中にある気持ちが言葉となって伝えて頂いた瞬間でした。
実は僕も、表情の描き方はすごく悩んだ部分で、僕の描いたこの表情が本当にはぴるさんの気持ちを代弁しているだろうか?ずっと疑問に思いながらも描き進めていた部分でした。
何となくこんな気持ちだろう、と予想して描いていた表情ではやっぱりすこし腑に落ちないところがあって、そのもやっとした部分はちゃんと相手に伝わってしまう。ふしぎなものですね。
はぴるさんの気持ちを汲み取ったとき、情けなくも「表現しきれないかも・・・」と感じました。
僕ははぴるさんの配信を知っています。そのリスナーさんも知っています。関係性を知った上で、当時の自分の画力では一枚のイラストでどう描いたら良いのか分かりませんでした。
でも今回は一枚絵の依頼ではありません。
そうなんです、ミュージックビデオ用のイラストです。
そこで僕から「差分を使って表現しませんか??」と提案をしました。
AかBかを悩んでいる相手にCをぶつけてしまうようなもの・・・
情報量を増やしてしまって本当に申し訳なかった・・・ごめんね!!!
でも、そんな提案にもはぴるさんは正面から真剣に考えてくれて、その方が良くなりそうって思ってくれて、そして差分を考慮してラフを修正していくことになりました。
ラフ修正 動画だからできる表現へ
差分を使った表現へ変更するに当たって、初期ラフB案をサビでの表情とし、サビ前は目を細めずにニコッと笑う程度の表情を使うようにしました。
また、ポージングについても少し変更。サビの華やかな表情・ポーズとは異なり、サビ前は腕を下げてかるく開いたようなポージングで、という依頼を受けました。
そして描いた修正ラフがこちら!!
サビはほとんどそのまま、サビ前はA~Cまで3パターンを描いてみました。
シンプルに指示通りのA案
片手を胸に当てて歌っているような、語りかけているようなB案
両手を胸に当て、ぐっと思いを秘めているようなC案
ここでも少しはぴるさんを悩ませてしまったのですが、最終的に採用されたのはC案でした!
(Aを描きながら「これはCのポージングの方が良いかもな」と思って、C案と、折衷案のB案を描いたので、はぴるさんがC案を選んでくれたとき実はめっっちゃ嬉しかった笑)
この曲のサビの歌詞を思い浮かべてみてください
「ねえ 君の好きな声でいたい ずっと」
Aメロ・Bメロは自身の記憶を想起しながら話すような歌詞に対して、サビはいつも「ねえ」と語りかけるような歌詞で始まるんです。
その秘めた気持ちがあふれていく様子を、イラストを使ってどう表現しようか。
そんなことを考えながらサビ前のラフを描いていました。
どうでしょうか?
AメロBメロで高まる気持ちをサビであなたに届けたい
伝わったかな?伝わっていると良いな
清書 実際に使ったイラストたち
初期ラフB案をサビ、修正ラフC案をサビ前のイラストとしてGOサインが出て、清書の段階に入ります。
ときたまはぴるさんに進捗をお見せしながら、本気のイラストへと塗り込んでいきます。
2週間くらいお時間を置いて、清書・納品へと至りました。
そして実際にMVへ使用されたイラストがコチラ!
どっちの表情もかわいいよね!!
サビの目を細めた表情、実は少し描くのが苦手な表情で、色んな人のイラストを参考にしながら練習したり描き直したりしたんです。
ポージングも、普段A4タテの用紙で描くことが多い僕には横構図が難しくて悩んだり、技術的には結構ハードルが高かったんだけど、そこを加味しても「このイラストは僕が描きたい!!」って思いから試行錯誤をしました。
みなさんはこのイラストを見たとき、このイラストに曲と、はぴるさんの歌声が重なったとき、何が心に浮かびましたか?
心に残るMVへ、僕のイラストが少しでもお手伝い出来ていたら嬉しく思います。
イラストたちを動画師さんへ
イラストが完成したら次の工程。
動画師さんへと引き継ぎます。
動画師さんへ画像を送るにあたって、いくつか画像をレイヤーごとに分けて作成をしました。
おもに背景と前景、キャラクターの三枚構成で、動画化するときに背景だけ欲しいとか、前景に少し動きを付けたいなどの要望がある可能性があったので、いくつかにレイヤー分けをしています。
正直、動画師さんがどういう動画を想定しているかが分からなかったので、とりあえず大体対応出来るようにつくった感じです
上のレイヤー構成の画像は、実際にはぴるさん経由で動画師さんへ送られたものです。
いつもこういう画像をつくっているわけではないのですが、今回はサビの前後でイラストが切り替わる想定だったので、枚数が多く混乱しないようにこういった画像で対応しました。
あとは出来上がったものを見るだけ。
この画像を届けた段階で僕のクリエイターとしてのお仕事はおしまいとなります。
絵師の(勝手に)こだわりポイント
ここから少しだけ、イラストを描くときにこだわったポイントをちらっと解説していくよ
前景クローバー
前景のクローバー、ラフの段階ではすべて四つ葉のクローバーを想定していました。
でも清書では敢えて三つ葉のクローバーも混ぜて描いています。
みなさんはクローバー(シロツメクサ)の花言葉を知っていますか?
四つ葉のクローバー:幸運
三つ葉のクローバー:愛・希望・信頼
四つ葉のクローバーはとっても有名な「幸運」ですよね
はぴるさんといえばクローバーというイメージがリスナーさんの中にあるくらい、普段から四つ葉のクローバーが好きって言っていたので、これはイラストの中に取り入れています。
ただ、敢えて今回は三つ葉のクローバーも入れたんです。
それはこのMVが、はぴるさんとリスナーさんとの間の関係性から生まれたものだと感じたから。
そこには愛とか、信頼とか、未来への希望とか、そんな想いが沢山詰まっているのではないでしょうか。
なので清書の時に付け足して描いちゃいました笑
気づいたかな?
勝手にこっそり付け足した部分なので、はぴるさんにも動画公開まで言っていませんでした笑
前髪と瞳
2つめのこだわりポイントはなんと言ってもお顔!
Vライバー/VTuberさんは立ち絵がモデリングの範囲でしか動けません。
髪が強くなびいたり、すこし表情を崩した笑顔を見ることは稀ですよね。
なので今回は思い切り表情を崩して、こうしたイラストでしかできない表現を!とトライしました。
リスナーのみなさんに、Vの世界が好きなみなさんに、普段とは違う一面を。
「バーチャルの世界だけど生きているんだ。」「触れられないけれど僕らとおんなじなんだ」
って思って貰えるような表情を意識しています。
瞳のなかに
そしてみなさんお気づきですか?
瞳の中にもクローバーのハイライトが入っていることに!
ピクセルの限界と闘いながらこだわった部分です笑
これははぴるさんに伝えてたっけな・・・??
勝手に入れた気がします笑
何か意図があったわけではなく、少しだけイラストで遊んでみたくて入れた部分です!
それでも描いてみると何か意図を込めたくなってしまいますね笑
みんながそれぞれの心で自由に意味を入れて解釈してみてね笑
おまけタイムラプス
最後に、清書のタイムラプスを置いておきます
※線画は別で行っているので、塗りが中心の制作過程です。
クリエイターさん紹介
名前をタップするとみなさんのX(旧Twitter)アカウントに飛ぶよ!
そしてイラストをわたくし水色の絵馬が担当しました!
いや~楽しかったね~
また作品制作でご一緒できる機会がありましたら、楽しく良いものつくって遊びましょ!
ちなみにこの歌ってみた動画の公開後、はぴるさん自身のきもちもnoteに書き残してくれています
こちらも要チェック!!
さいごに
今回はMV用のイラスト制作のメイキングを紹介しました。
以前からの知り合い?であったはぴるさんとの作品なので、技術面よりも気持ちの面での制作意図を多く書いたつもりです。
ずっと応援してきたライバーさんから一緒に作品をつくろうって言ってもらえるのは、本当に嬉しい経験です。
特にはぴるさんは、僕からの提案にもひとつひとつしっかりと吟味してくださる方で、配信での雰囲気とはまた違った真剣さがあって、僕も感化されるように楽しく真剣に作品作りができました。
何回も言うけど、本っっっ当に楽しかった!
きっと他のクリエイターさんたちも楽しくつくってくれたんじゃないかな?
MVを視聴してくださった方々はどんな感想を抱いてくれたかな。
つくった時の僕らの気持ち
聴いてくれているみんなの気持ち
その両方が曲の中で混ざっていって
少しでも心に残ってくれるものになっていたらいいなぁって思います
・・・・はい!
メイキング記事は以上となります!
結構長かったよね、全部読んでくれる人が何人居たか。。。笑
一文字でも読んでくれた人、ありがとうございました!
そして何より、MVを視聴してくれた人、ありがとうございました!!
はぴるの歌が君を創るように
僕も誰かを創っていける絵を届けられるように
これからも少しずつがんばっていくね
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